このページでは、実際に私が担当したご依頼の実例を基に、イラスト作成依頼の流れをご紹介します。
まず、ご依頼の流れの紹介についてご快諾頂きました「鶯谷エクスプロージョン」様に感謝の意を申し上げます。「最後の1曲」で始まるオルタナ系インプロビゼーションバンド、ということで即興演奏を行っています。興味のある方は以下のリンクより飛んでみてください。
全体の流れ
イラスト制作のご依頼は大きく分けて以下の作業に分けられます。
- 要望ヒアリング
- ラフ作成
- 下書き作成(無い場合もあり)
- 線画作成
- 着彩
今回はモノクロでのイラスト作成でしたが、カラーイラスト作成の場合は「色ラフ作成」と言う工程が入ります。
では、それぞれの工程について実例を交えながらご紹介します。
要望ヒアリング
まずはご依頼者様から「どのようなイラストを作成してほしいのか」について要望を伺います。
ご依頼者様の中でハッキリとイメージがある場合は、この段階で画像や文章で詳細にご説明を頂けますと、以降の工程がスムーズに進み、迅速な納品が可能となります。
今回のご依頼では口頭でお話を伺い、その内容を私の方で整理しましたところ、以下のような要望となりました。
- 楽器が特徴的なのでそれはハッキリわかるようにしたい
- 「ギブソン セミアコベース」と「フェンダー ジャズマスター」
- 楽器を弾いている姿、もしくは特徴的な楽器を強調する感じにしたい
- 複雑すぎずシンプル目にまとめたい
- Tシャツやジャケット、チラシに使えるような使用イメージ
- 例えばgorillasみたいな、ぱっと見でそのバンドと分かるようなものだと良い
- ポップさが欲しい。サンリオみたくシンプルな
- Tシャツにした時に面白可愛い感じ、女の子、男の子、どちらにも受けるような
著作権的な都合でここに貼る事は出来ないですが、バンドの写真も含め参考画像をいくつかご提示いただきました。これらの情報を踏まえて、私の方でラフの作成に進みます。
ラフ作成
「ラフ」という言葉は絵を描かない方には馴染みが無い単語ですが、本格的に絵を描き始める前に作成する全体のイメージを決めるための下書きの事を指します。このラフを作成する事でご依頼者様のイメージと、実際にイラストを作成する私の間のイメージのすり合わせを行います。
前段階である「要望ヒアリング」の結果から、イラストを作成するうえでの具体的な内容に落とし込んで解釈した結果、以下の内容となりました。
- キャラを描く場合、2~3頭身のSDキャラ
- 目は丸ポチ位のデフォルメ具合、描き分けは髪型や色でキャラ分けする
- カゲは無し、主線と色分けのみで表現する
- 線画はきっちりお堅い感じではなく、ゆるさを感じさせるイメージで描く
- 楽器は描画量を押さえつつ、特徴をとらえたものにする
- Fender JAZZMASTER
- Gibson EB-2
- 口周りのひげ、坊主頭、小太り、などの要素をデフォルメして描く
最初に頂いた「要望ヒアリング」の内容からは、2頭身なのか3頭身なのかが絞り切れなかったため、初期案では、2頭身と3頭身のラフを1案ずつご提示しました。
この際に、2頭身と3頭身のそれぞれの頭身が持つ特徴を説明し、どちらが良いか確認しました。結果、デフォルメが強めの2頭身が良いということだったので、以降はその方向で進めていきました。
「ラフ作成」はイラスト制作の設計図のような物なので、大幅なポーズ変更や、構図の変更などはこの段階で指示を出して頂くようお願いしました。今回はこのままで良いとのことだったので、ここから細部を詰めていきました。
下書き作成
「ラフ作成」の次は「下書き作成」です。
ラフより更に詳細な「下書き」を作成します。主に細部のディテールアップと、細かな要望の反映が目的です。「下書き作成」については行わない場合も多々ありますが、今回はご依頼者様の要望を細かく反映するために行いました。
前段階の「ラフ作成」で大まかな方向性が決まったので、ご依頼者様に確認しながら細部を詰めていきます。今回のご依頼では具体的な指示が多かったので、修正・加筆作業が進めやすかったです。参考までに以下に頂いた修正・加筆指示の一例をいくつか挙げます。
- ドラマーの顔を全部出して
- ベース(左)の楽器のボディをもうちょいでかく
- ヒゲについてはベタ塗りだと、ひげダンスみたいになっちゃうので、もうちょいなんか工夫してほしい
- ベースの特徴として「Fホール」というものがあるので入れて欲しい
- ドラムスティック形状は丸型、樽型、卵型あたり希望
などなど2回ほどやりとりがあり、修正後のものが以下になりました。
線画作成
上記下書きを基に線画作成を行います。「線画」とは文字通り線で描かれた絵のことを指し、イメージとしては「塗り絵」を想像してもらうと良いと思います。今回は「下書き作成」までの工程で詳細に要望反映していたため、「線画作成」以降の工程ではほぼ修正はありませんでした。
「線を可能な限り太くしてほしい」という要望があったので、この後紹介する完成稿では更に線画が太くなっています。
この辺の工程からイラストの完成サイズ(≒使用用途)を意識してデータ作成を行う必要があります。今回はバンドTシャツ作成、バンドの広報活動用途に使用すると聞いていたので、印刷に耐えうる解像度(4000*3000px, 350dpi)で作成を行い、納品は「透過PNG形式」「PSD形式」で行いました。
ご依頼者様によっては解像度やデータ形式について詳しくない方もいらっしゃると思います。使用目的を伝えて頂ければ、最適な解像度についてご提案させていただきますので、ご依頼の際はお気軽にお尋ねください。
着彩
最後に「着彩」工程ですが、文字通り色塗りのことですね。
今回はモノクロイラストでしたので、どの部分を黒で塗りつぶし、どの部分を白抜きにするか、のご指定を頂き、その通りに着彩しました。その後、塗った後のイラストをご確認いただき、微修正を加えて完成した物が以下になります。
※実際はグッズ化用に透過背景(以下画像の白色部分は透明色)で作成していますが、当記事で紹介するための画像では白塗りにしています。
以上で、実例を交えたイラスト作成依頼についての紹介を終わります。イラスト作成のご依頼を検討中の方はお気軽にお問合せフォームよりお尋ねください。